鳥の歌・句を集めています。よろしくお願いいます。

 

短歌

歌はただ此の世の外の五位の声端的にいま結語を言へば  /岡井隆『鵞卵亭』

        (「五位鷺」という「鷺(サギ)」の一種)


チャンスはぼくに一度だけくる落ちてくるあの鳥とほほえみをかわそう  /正岡豊

渤海のかなた瀕死の白鳥を呼び出しており電話口まで  /岡井隆

案内(あない)する人の寡黙に慣れてゆくこの野のはての鶴を信じて  /岡井隆

病む鳥のほのかに細い声となる詩の一行は苦しいだろう  /加藤治郎

わが死にし後を言ひをる烏らのかあをと鳴きてその舌しびる  /前川佐美雄

火の如くなりてわが行く枯野原二月の雲雀身ぬちに入れぬ   /前川佐美雄

ゆふぐれにおもへる鶴のくちばしはあなかすかなる芹のにおいす   /葛原妙子

しらさぎが春の泥から脚を抜くしずかな力に別れゆきたり   /吉川宏志

雨の匂ひしてゐる夜を鳥よりも深く首曲げ眠れり孤り  /河野裕子

今死ねば今が晩年あごの無き鵙(もず)のよこがほ西日に並ぶ  /河野裕子

鶉また鶉卵も抹消せよと言いつのる言語警察 ぼくは逃げない   /加藤治郎

うつしゑの乙女らの手は袖の中白い小鳥が巣籠もるように      /米川千嘉子

春の鶴の首打ちかはす鈍き音こころ死ねよとひたすらに聴く    /米川千嘉子

壮年へゆくしろがねの澪見えてしばらくは鶴のごとき目をせむ    /坂井修一

水を出ておおきな黒き水掻きのぺったんぺったん白鳥がくる  /渡辺松男

かなしみに慣れし心になつかしくこの夏を鳴く山鳩の声  /窪田章一郎

百どりの競える中にひびきとほる斑鳩の声に村は静まる  /土屋文明

一つ歩む千鳥を襲ふ烏あり深江の浦の朝なぎの時   /土屋文明

かもめよ鷗よいく夜眠らずうつうつとわれは来たれり橋をわたりて   /土岐善麿

暗みゆく林の空に一つゐて声さまよひて黒つぐみ鳴く    /窪田空穂

琥珀日和のこのひるさがりわがうちに燕とばせてきみがほほゑむ    /荻原裕幸

春服を着てもひもじき空の下まず燕来よつばくらめ来よ   /三枝昂之

冬鳥の幻を待つ井のほとり百年刹那千年刹那    /三枝昂之

水銀灯ひとつひとつに一羽づつ鳥が眠っている夜明け前   /穂村弘

くるるくろこくろkるるぐうゆさわりの上の曇日(くもり)に山鳩が鳴く   /河野裕子

NEW

大橋弘 歌集「からまり」から。

「足の裏たぶんひばりの雛なども載せたいのだろう 皮が剥けてる」

「むくどりのごらんいずれは雷雨へと膨らんでいくあのあやふやを」

「胃の重さこれは土鳩か山鳩かわかりまで待つ棘立てて待つ」

「山鳩は奈落を好む刹那ありふいに鳴きやみ空白となる」

「三日分薬を貰いこの三日ふくろうを産む森になるんだ」

「額にはつばめうみねこそのほかのひかりを貼って海に飛びこむ」

「お子さんはまだかと問われ南極の飛べない鳥は飛ぶと答える」

「まだ歌が生まれる前の沈黙にはばたきやめておりてくる鳩」

「ゴイサギを中心にしてわが家の団欒あれと願う試験日」

 

 

俳句

百千鳥雄蕊雌蕊を囃すなり   /飯田龍太

鳥曇ニッポニアニッポン生きて絶ゆ  /三橋敏雄

鶺鴒岩に上流を向く雪くるか  /小澤實

 

 

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